看板の安全点検が義務化?耐用年数の意味と目安とは

2015年2月に札幌で起きた看板落下事故を受け、国土交通省は野外広告物の所有者に安全点検を求める方針を決定しました。そこで、今回は看板の耐用年数について解説をします。
引用:http://mainichi.jp/articles/20160429/ddr/041/040/003000c
減価償却資産と耐用年数の意味
企業において長期間使用される固定資産は減価償却資産とも呼ばれ、それぞれ耐用年数が決まっています。例えば、鉄筋コンクリートの事務所なら50年、社用車やパソコンなら4年、エアコンなら6年といった具合です。
これは資産価値がなくなる推定年数を表しています。また、減価売却というのは必要経費を耐用年数で分割して申告する税制上の仕組みです。鉄筋コンクリートの事務所を1億円で購入した場合は、その年に必要経費1億円と申告するのではなく、毎年200万円ほどの必要経費を50回に分けて申告し続けることになります。
そうしないと事務所を購入した年だけが大赤字になり、経営の実態とかけ離れてしまうからです。そして、それは看板にも全く同じことが言えます。長期間使用される固定資産なので、看板も耐用年数が設定されているのです。
構造と材質によって異なる看板の耐用年数
看板の耐用年数はその構造と材質によって異なります。まず、袖看板のような建物の横に設置されているものは建物附属設備の扱いとなって、金属製のものが耐用年数18年で、それ以外なら10年になります。また、ビルの屋上にある巨大な広告塔は構築物扱いで金属製が20年、それ以外が10年です。道路脇に設置している案内板も同様の扱いです。
さらに店の前に置いている立て看板は3年となります。立て看板は別として、建物に取り付けられている看板は材質が金属か否かで大きな差があることが分かります。
※定期的な安全点検・補修を行う場合の想定です。
日照時間などの環境により、大きく左右されます。
リニューアルの目安としての耐用年数
もちろん、耐用年数は法律の運用上定められている数値に過ぎず、その年数を過ぎると直ちに使用不可能になるわけではありません。あくまでもこのぐらい使えば、買い替えの時期だろうというおよその数字にすぎないのです。耐用年数20年の看板でも設置条件が悪ければ10年でダメになる場合もあれば、30年経っても問題なく看板の役目を果たしている場合もあります。
しかし、看板というのはだんだん古びてくるため、いずれ交換しなければなりません。そのタイミングがつかめない場合は、耐用年数をリニューアルの目安にしてみてはいかがでしょうか。
まとめ
看板というものは建物がある限りそこに設置されているイメージがありますが、実際には雨風に晒され、確実に経年劣化を積み重ねています。そして運が悪ければ、ある日突然落ちてくることもあるのです。そうした不幸を避けるためにも耐用年数が近づいてくれば早めに安全点検を行うことをおすすめします。