退去時によくあるトラブル?契約時に注意するべきポイント

テナント契約の書類に、忙しくてきちんと目を通すことができていない...なんてことはありませんか?オープンには問題がなかったものの、テナントを解約する際にもトラブルは少なからず発生しています。本日は「退去時のよくあるトラブル」についてお届けします。
テナント契約時には想像しにくいものの、解約時に起こりやすいのが原状回復のトラブル。テナント解約時の理由は様々ですが、解約・退去にかかる費用はできるだけ抑えたいものです。本日は、よくある事例とトラブルを未然に防ぐポイントをご紹介します。
「原状回復」とは?
まずは国土交通省で定義されている原状回復について見てみましょう。
「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義し、その費用は賃借人負担としました。そして、いわゆる経年変化、通常の使用による損耗等の修繕費用は、賃料に含まれるもの。
賃借人が借りた当時の状態に戻すことではない。
と、強調されて記載されています。
参考:「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について|国土交通省
内装を例に見てみると、オーナーの意向により修復作業で済むか、床や天井、壁などを新品にすることを求められるかなど、大きな違いがあります。
また、原状回復工事を行なう際、「オーナーの指定の工事業者に依頼すること」というルールが設けられている場合もあり、借り手にとっては不利な状況になりがちです。
看板工事で発生しやすい原状回復トラブルとは?
具体的に、看板工事ではどのような場合が考えられるでしょうか?袖看板を例に、工事内容別でご紹介をします。
- 店名や社名等、表記している内容を隠す
板の上に直接白いシートを貼り、表記している内容を見えなくする工事を行えば問題がない、という場合です。一番安価に工事が可能です。
- 店名や社名等、表記している内容を消す
次の工事の際に費用がかからないよう、入っている板を新しい板に差し替える、又はシートの剥離作業が必要です。1と比較をして、多くの場合、材料費又は作業時間が長くなることで工事費が高くなります。
- 袖看板自体を撤去する
契約時には袖看板が設置されておらず、お客様で袖看板を一から設置された場合に想定されるパターンです。1、2と比較をして撤去をした袖看板の処分費用がかかります。多くの場合、空けた穴を埋める処理が必要です。また壁面がタイルで出来ており、タイルが割れてしまっている場合にはタイルの交換工事等も必要になります。
契約時に合意が取れていないと、契約時には「店名や社名等、表記している内容を隠す」の状態で引き渡しだったにも関わらず、解約時には「店名や社名等、表記している内容を消す」ことが求められる場合があります。また「袖看板自体を撤去する」の場合では、はじめから割れていたタイルの補修工事を求められる場合もあるでしょう。
原状回復トラブルを未然に防ぐポイント
トラブルを未然に防ぐには、契約時に原状回復の契約について確認を取っておくことが大切です。
- 解約時、どの状態に戻すことが必要なのか
- 看板屋さんをオーナー側で手配するのか、自分たちで手配するのか
- 過去退去した際にはどのくらいの費用がかかっていたのか
- 入居時の状態はどのような状態であるか(写真を撮っておくことがおすすめです)
上記は口頭確認ではなく、必ず書面に残し、見返しができるようにしましょう。
まとめ
退去時、費用を少しでも抑え次の場所に移転をしたい元借主と、なるべく綺麗にし、次の借主を見つけたいオーナーの間でトラブル。場合によっては裁判にまで発展する場合も有ります。言ったか言ってないかの口約束のトラブルにならないよう、契約時にきちんと書面で合意を取り、スムーズな解約手続きを進められるようにしましょう。